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 鉄道員(ぽっぽや)
   監 督 :降旗康夫
   出 演 :高倉健、大竹しのぶ、広末涼子、吉岡秀隆、小林稔侍、田中好子、
   ジャンル:ドラマ
   1999年  日本




 泣かせようとする映画です。 … 負けた!

注)以下、ネタバレだらけです!

【あらすじ】
 佐藤乙松(高倉健)は蒸気機関車のカマ焚きから幌舞駅長になり間もなく定年退職の予定です。

 乙松は生涯を鉄道員として生き、一人娘・雪子が生後二か月で病死した時も、妻・静枝(大竹しのぶ)が亡くなった時も、ホームに立っていたのです。
 そんな幌舞駅のある晩、小さな女の子が遊びに来ます。
 次の夜には小学生、その次の夜には高校生の女の子(広末涼子)が妹たちが失礼しましたと挨拶に来ます。
 乙松は帰省して来たお寺の住職の孫娘だと思い込んでいましたが、ちょうど住職から電話が入り孫娘が帰ってきてはいない事を知ります。
 三人の娘達とは、幼くして死んでしまった雪子が、父に無事に成長した時の姿を見せるために現れた幽霊でした。
 雪子は何故と聞く乙松に「だって、お父さんなんもいい事なかったっしょ? わたし、親孝行する前に死んじゃったから…」というのです。
 乙松が涙をこらえて振り向いたとき、そこにはもう誰もいませんでした。

 間もなく乙松も雪に埋もれたホームの上で死にます。
 豪雪でおくれたラッセル車を、駅舎に戻らずに極寒のホーム上で待ち続けた結果でした。


【感想】
 ストーリーを知っているのに、短いイントロの後にタイトルが映っただけで目が潤んできます。
 画面や音楽がうまいんでしょね。
 
 



乙松の遺体を運ぶ一両編成の気動車は、汽笛を響かせて雪原を行く。

 主人公の死で終わるのですからハッピーエンドとは言えないまでも、不幸な終わり方ではないと思います。
 乙松は最後の時まで鉄道員としての意思を貫きました。
 周りの人も乙松の人となりを理解してくれていました。
 雪子もそんな乙松の死期が近い事を察して現れてくれたのでは、と思います。
 見事な生涯でした。


 古い美しい日本人の映画ですね。



 

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